加法定理 その1

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加法定理

教科書では、以下のように加法定理が載っていると思います。

加法定理

\begin{align*}
(1)\ &\sin( \alpha + \beta ) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta \\
(2)\ &\sin( \alpha – \beta ) = \sin \alpha \cos \beta – \cos \alpha \sin \beta \\
(3)\ &\cos( \alpha + \beta ) = \cos \alpha \cos \beta – \sin \alpha \sin \beta \\
(4)\ &\cos( \alpha – \beta ) = \cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta \\
(5)\ &\tan( \alpha + \beta ) = \frac{ \tan \alpha + \tan \beta }{ 1 – \tan \alpha \tan \beta} \\
(6)\ &\tan( \alpha – \beta ) = \frac{ \tan \alpha – \tan \beta }{ 1 + \tan \alpha \tan \beta}
\end{align*}

 

上記のように加法定理が6つ載っていますが、覚えるべき式は以下の2つです。

加法定理(覚える2つ)

\begin{align*}
(1)\ &\sin( \alpha + \beta ) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta \\
(3)\ &\cos( \alpha + \beta ) = \cos \alpha \cos \beta – \sin \alpha \sin \beta
\end{align*}

 

また、上記2つの加法定理の証明よりも、まずは加法定理の使い方を習得するべきだと思います。なぜならば、加法定理の証明を覚えたところで他の問題に応用がきくようなことはほとんどないからです。

では、この2つの加法定理から他の加法定理を導いていきます。
(1),(3)の式の\( \beta \)を\( – \beta \)に置き換えます。
その際、\( \sin (-\theta) = -\sin \theta,\cos (-\theta) = \cos \theta \)であるので
\begin{align*}
(2)\ \sin( \alpha – \beta ) &= \sin \alpha \cos( -\beta) + \cos \alpha \sin (-\beta) \\
&= \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha (-\sin \beta) \\
&= \sin \alpha \cos \beta – \cos \alpha \sin \beta
\end{align*}
\begin{align*}
(4)\ \cos( \alpha – \beta ) &= \cos \alpha \cos (-\beta) – \sin \alpha \sin (-\beta) \\
&= \cos \alpha \cos \beta – \sin \alpha (-\sin \beta) \\
&= \cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta
\end{align*}
が導かれます。

また
\[ \tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta} \]
であるので、
\begin{align*}
(5)\ \tan(\alpha + \beta) & = \frac{\sin (\alpha + \beta)}{\cos (\alpha + \beta)}
\end{align*}
ここで、(1),(3)の加法定理を用い、分母分子を\( \cos \alpha \cos \beta \)で割ると
\begin{align*}
&\frac{\sin (\alpha + \beta)}{\cos (\alpha + \beta)} \\
&= \frac{\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta – \sin \alpha \sin \beta} \\
&= \frac{\frac{\sin \alpha}{\cos \alpha} + \frac{\sin \beta}{cos \beta} }{1 – \frac{\sin \alpha}{\cos \alpha}\frac{\sin \beta}{\cos \beta}} \\
&= \frac{ \tan \alpha + \tan \beta }{ 1 – \tan \alpha \tan \beta}
\end{align*}

ここで、(2),(4)の式を導いたのと同様に(5)の式の\( \beta \)を\( – \beta \)に置き換えます。
その際、\( \tan (-\theta) = \tan \theta \)であるので、
\begin{align*}
(6)\ &\tan( \alpha – \beta ) \\
&= \frac{ \tan \alpha + \tan (-\beta) }{ 1 – \tan \alpha \tan (-\beta)} \\
&= \frac{ \tan \alpha – \tan \beta }{ 1 + \tan \alpha \tan \beta} \\
\end{align*}
が導かれます。

加法定理の利用例

加法定理を使うと、すでに\( \sin, \cos, \tan \)の値がわかっている角度の和や差で表すことができる角度の\( \sin, \cos, \tan \)の値を求めることができます。


(問題1)
\( \sin 75^\circ, \cos 75^\circ \)の値を求めよ


(解答)
\( 75^\circ = 45^\circ  + 30^\circ \)であるので
\begin{align*}
\sin 75^\circ &= \sin 45^\circ \cos 30^\circ + \cos 45^\circ \sin 30^\circ \\
&= \frac{\sqrt{2}}{2} \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{\sqrt{2}}{2} \frac{1}{2} \\
&= \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4}
\end{align*}

\begin{align*}
\cos 75^\circ &= \cos 45^\circ \cos 30^\circ – \sin 45^\circ \sin 30^\circ \\
&= \frac{\sqrt{2}}{2} \frac{\sqrt{3}}{2} – \frac{\sqrt{2}}{2} \frac{1}{2} \\
&= \frac{\sqrt{6} – \sqrt{2}}{4}
\end{align*}

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